食品中の細菌数検査法
最終更新日:2014年1月24日
あなたが食べている食品にどのくらい細菌がいると思いますか?
自然界には多くの微生物が存在し、食材の野菜・魚・肉などにも付着しています。微生物のなかには、加工食品(ヨーグルト・納豆・酒・みそ)や薬品の製造に役立っているものもありますが、時には食品衛生上有害となる場合があります。それらの防止のため、汚染の程度を調べる方法を紹介します。
そうざいなどの一般細菌数・大腸菌群数の検査法
1
食品の一定量を計りとります。さらに、食品を均質、液状化するため、希釈液を入れます。
(操作はすべて無菌的に行われます。)
2
ストマッカーという機器を用いて食品を粉砕し、均質、液状化します。
3
食品と希釈液を混合し、均質、液状化したものを試料液とします。
右側の円柱状の容器は、食品製造施設や調理器具などの表面の拭き取り検査用の容器です
(施設や器具などの表面を拭き取るための綿棒と、それを洗い出すための希釈液が入っています。その希釈液を試料液として検査を進めます。)
4
試料液の一定量をシャーレにとります。
(菌数の多いものは段階的に希釈をします。)
5
菌が死なない程度の温度(約50℃)の培地(栄養素の入った寒天)を流し込み、試料液とよく混ぜてから、室温で固めます。
(混釈培養法)
6
35.0±1.0℃のふらん器に入れ、一定時間培養後、集落を数えます。
標準寒天培地
一般細菌数(標準寒天平板法)
標準寒天培地を用い、35.0±1.0℃で48±3時間培養し、培地に発育したすべての集落を数えます。その集落の数を一般細菌数といい、食品や施設、器具のふきとりなどの微生物汚染の程度を知る指標になります。
白い点が一般細菌の集落です。
酵素基質寒天培地
大腸菌数と大腸菌群数
大腸菌や大腸菌群を酵素基質を用いて発色させ鑑別する酵素基質寒天培地や大腸菌群が優位に発育するデソキシコレート寒天培地を使用します。
酵素基質培地では、大腸菌は青色に大腸菌群は赤から赤紫色の集落を形成します。
デソキシコレート寒天培地では、大腸菌群が赤色集落を形成します。
大腸菌は動物などの糞便に由来するため食品中の存在は糞便汚染を強く示唆し、ほかの病原菌汚染の可能性もあります。
大腸菌群は自然環境中に広く分布しており、大腸菌ほどの汚染指標ではありませんが、加熱食品での存在は加熱不足や加熱後の取り扱いの不備を示すと言えます。
デソキシコレート寒天培地