市長説明
最終更新日:2016年7月15日
平成28年度の新潟市の主な取組みをご説明させていただく。
まずは、トピックス。農業戦略特区では、農家レストランが相次いでオープンしている。フジタファームとワイエスアグリプラントが西蒲区に、高儀農場が北区にそれぞれオープンした。今まで作ることができなかった農業地にすばらしいレストランが誕生したので、今後アグリツーリズムの拠点にしていきたい。また、規制緩和を利用して、ローソン、セブンアンドアイ、JR東日本など全国的な企業にも参入していただいている。
公衆無線LANサービス、いわゆるWi-Fiを整備し、年度明けに主な観光施設、公共交通施設などで、無料でインターネット接続が可能になった。現在、外国人が独自に情報を取得し、さまざまな地域に来ているが、外国人への情報提供が貧弱な地域では、ここは外国人に優しくないと、せっかく来てくれた外国人がマイナスのイメージを発信してしまう地域もある。新潟はそのようなものを防ぐ土台が完成した。外国人、インバウンド向けということもあるが、市民の皆さまからも情報をしっかりキャッチしていただけるので、ぜひご活用いただきたい。
ここからは新年度の取組みについて説明する。今年、新潟市は政令市に移行し10年目の節目になる。これまで進めてきた拠点化、個性化を土台とし、「安心政令市にいがた」に結びつけていく取組みを推進したい。持続可能なまちづくりを実現するには財政も持続可能でなければならない。財政予測計画を踏まえ、今まで以上にしっかりと財政運営をしていく。
新潟市は公共施設の数が非常に多く、公営住宅を除いた公共施設の市民一人あたりの面積は、政令市の中で一番広い。これらの施設をすべて維持・管理、修繕、建て直し、改築をしていくと、新しいまちづくりに使えるお金がなくなってしまう。今後はしっかりした施設に複数の機能をつけ、複合施設・総合施設にしていき、そこに区バス・住民バス、営業バス路線を接続させる。サービスの中身はより充実させ、公共施設の数を減らしていくというのがファシリティ・マネジメントの考え方である。一層の財政健全化を図り、将来の世代に新潟をしっかりと引き継いでいきたい。
持続可能で心配なのは人口である。これまでずっと人口は伸びてきたが、ここにきて横ばいとなっている。昨年の国勢調査では、新潟市は81万人台を何とか堅持した。5年前に国が80万ちょっとになるという予測推計値を出していたが、これを9,600人ほど上振れさせることができた。人口問題に的確に対応していけば、予測数値は改善できることを市民の皆さまにお届けする材料ができたと思っている。今後、世代別などの細かい推計が出てくるので、9,600人がどのような形で上振れしたのかについて整理していく。新潟県全体では7,600人の上振れということだが、これは新潟市の9,600人を差し引くと2,000人下振れしたということになり、やはり新潟県の人口は非常に厳しい状況にある。人口問題が一番の土台になるので、人口減少を極力緩やかにしていきたい。
昨年度から新しい総合計画「にいがた未来ビジョン」に沿ってまちづくりを進めているが、それに加えて、人口問題への対応、「新潟市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を昨年10月に作成した。「にいがた未来ビジョン」では、「安心協働・環境健康・創造交流」という三つの都市像を早期に確立するという方向を示しており、そこに加え、さらに人口問題への対応を強力に取り組んでいこうということである。新潟暮らしの良いところを伸ばし、欠点・弱点を改善する「新潟暮らし創造運動」を今年度はより本格的に展開していく。人口の流出を極力抑制し、人口の流入を促進する取組みである。
「新潟市まち・ひと・しごと創生総合戦略」では四つの基本目標を立てている。一つ目は多様な雇用の創出。二つ目は、交流人口の拡大で、先ほどのWi-Fiもこれに対応した施策である。三つ目は、一貫した支援によって少子化を克服し、四つ目は、超高齢社会でも安心して暮らせるまちを作ろうということである。この四つの基本目標を「にいがた未来ビジョン」の三つの都市像に重ね合わせていくということが、今年度からの取組みである。そのための予算は、総額3,593億円で、前年度比マイナス52億円、1.4パーセントの減ということになった。今年度は大規模建設事業が終了した谷間の年なので、この部分の減額が大きい。これからもプライマリーバランスを意識して、収支均衡を確保しながら取り組んでいくことが、今後の財政運営の考え方になる。
ここからは三つの都市像ごとの説明である。
まず、安心協働の分野である。妊娠・出産・子育てを切れ目なく支援し、子どもを安心して産み育てられるまちを作ろうということで、各区役所に子育てのワンストップ相談の拠点を作る。そして、妊娠・子育てほっとステーションを設置し、そこに保健師などが出ていって、若いお母さん、お父さんの子育ての相談に応じるというような新潟市版ネウボラを作り、制度を充実させていこうと思っている。特に、初めての子育ての支援を充実させたい。
現在、都市部では待機児童が問題になっているが、新潟市は待機児童ゼロを長年守り抜いている唯一の大都市である。中身の面でまだまだ心配な部分はあるが、保育所などの整備を続けながら待機児童ゼロを堅持していく。地域での放課後児童クラブが小6まで拡充され、厳しい環境にあるひまわりクラブが多いが、これも順次改善していく方向で、地域の方のご協力を得ながら運営を良い形にしていきたい。
また、若い男女の出会いの場を創出することを新潟市として支援させていただく。
新潟らしい教育の充実について、現在、新潟市はすべての小学生に農業体験と食育を推進している。これは全国で唯一新潟市が取り組んでいると思っている。「わくわく教育ファーム」をさらに推進していく。また、今年度から「大好きにいがた体験事業」という形で、地域のふるさとへの愛着を育む教育推進校30校をモデルに指定した。
今後、さらに奨学金をより充実させ、若者の学びを支援し、貧困の連鎖を断ち切る取組みも推進していく。
超高齢社会の中で、地域で医療・介護が受けられる地域包括ケアシステムを実現するためには、住宅リフォーム、あるいは小規模多機能施設などを造っていく取組みも必要であり、生活支援、介護予防なども取り組んでいく必要がある。現在、八つの区で看取りまでやっていただける医療・看護・介護チームを立ち上げたが、地域的にばらつきもあるので、これをより充実させていく。来年度から、介護保険制度が変わり、要支援は新潟市が責任を持つことになる。専門的なものは医療・看護・介護チームに動いてもらわなければならないが、お年寄りの声かけ、見守り、あるいは買い物支援など、地域でやっていただける生活支援はぜひ地域でお願いしたい。
また、地域ぐるみで健康づくり、介護予防などにも取り組んでいただければ、大変ありがたい。すでにいくつかのコミュニティ協議会、自治会などで手を挙げて、モデル事業を実施していただいている。今年度はより充実させ、先ほどの新しい支え合いを作るモデルハウスを全市に展開する。在宅医療・介護連携ステーションも順次開設する。地域力、市民力を最大限発揮いただけるように、我々も支援の仕組みを充実させたいと思っている。
次は、環境健康都市の分野についてである。新潟市は6次産業化ということでニューフードバレーを推進している。田園には大きな力があるので、これをより広い分野で生かしていこうという取組みである。すでに子育ての分野では、家庭から野菜くずを保育園に持ってきてもらって、それをボカシなどで良い肥料にして、元気な野菜を作る「菌ちゃん野菜づくり運動」が始まっており、そこに若いお母さん、お父さんにも参加いただいている。若いお母さん、お父さんの世代が、食育の知識が一番伝わっていない世代なので、そういった方を意識して子育て分野を頑張っていきたい。
教育分野ではすでに教育ファームという取組みが始まっている。アグリ・スタディ・プログラムは効果がある農業体験なので充実させていく。
また、福祉の分野でも障がい者と農業は非常に相性がいいということが各地で実証されてきた。新潟市でも農業戦略特区の中で、障がい者に活躍していただく取組みが本格的に始まっている。農・福連携をより促進する。
保健医療の部分では、南区が一番健康状態が心配だというデータが出ている。まずそこをモデルにして、減塩運動などを展開いただき、体重をしっかり計る事業を展開している。これから保健医療の面で田園、大地の力をもう一回活用させてもらう。
そして、もみ殻である。田園資源の一番代表的なもみ殻がエネルギーになるという取組みを富山県射水市と組んで推進していき、今年、このようにやればエネルギーになるということを実証していきたい。
六つ目の分野が交流ということである。意欲のある農家と意識の高い消費者を結びつけるという交流を全市的に進めていきたい。先ほどの農家レストランも含めてアグリツーリズムの素材が数多く各地に誕生しているので、交流面でも大地の力を生かしたい。6次産業に加えて六つの分野を頑張るということで、12次産業化という取組みをより力強く推進していきたい。
次に、健康寿命の延伸についてである。新潟市の場合は平均寿命は全国平均よりは長いが、健康寿命が比較的短いということで、健康寿命を延ばしていくことが非常に重要な取組みになる。今年度、健康寿命延伸計画を策定する。そういった中で、減塩運動を全域で展開していく。また、健康に良いこと、環境に良いことに取り組んだ方に健幸マイレージ、未来ポイントをおつけし、取組みのインセンティブ、きっかけづくりにしていきたい。生活習慣病予防を地域ぐるみで行っていこうということである。
特定健診についても、旧町村は集団健診がなくなったことで、健診の受診率が低くなっている地域があるので、受診率を徹底的に上げていく。胃がん対策については、ピロリ菌検査を実施し、ピロリ菌がある方は除菌していただく。医学的にエビデンスはないという方もいらっしゃるが、やはり心配な部分については早めに除菌いただき、新潟から医学的データ、エビデンスを作り出したいと思っている。胃がん検診の初年度無料化、基本価格も見直しということで、健康寿命の延伸に全力を挙げていきたい。
健康づくりを「頑張りましょう」といって、「よしやるよ、もうやっている」という方はだいたい3分の1以下、3割程度になっている。「私は関係ない、私はまだまだ大丈夫」という方が多いので、健康づくりとまちづくりを徹底連携させるというのがスマートウェルネスシティ、健幸都市づくりである。すでにこれに取り組んでいるが、今後、さらにまちなかの活性化とも結びつけ、持続可能な公共交通、特にバス交通を構築する。おかげさまで新バスシステムは春ダイヤの改善以降、ほとんど苦情的なものがなくなってきた。これをさらに改善して利便性を向上させ、区バス・住民バスも確保、強化していく。新潟交通と一定の信頼関係ができたので、65歳以上の全員を対象に、8月頃を目途に「シニア半わり」を実施する。「りゅーと」が使えるところや区バス・住民バスについては65歳以上は半額となるので、ぜひ、これをきっかけにバスを大いに活用して、まちなかでの買い物、趣味の講座などにお出かけいただきたい。
次に、女性、若者が働きやすい環境を作っていこうというワーク・ライフ・バランスについてである。仕事と暮らしのバランスが良い働き方をしようということである。優秀な事業所を表彰させていただく。また、男性の育児休業も、取組みによっては伸びるということである。それからUIJターンも極めて重要である。創業、空き家、住まい、奨学金というものを支援し、UIJターンの促進をしていきたい。
次に、三つ目の都市像である創造交流都市の分野についてである。まずは、国土強靭化の中で新潟市は第1次モデル調査団体に選ばれ、地域計画を作らせていただいた。足元の安全度を確保しつつ、現在、太平洋側が幅広く被災することを想定せざるを得ない状況になっているので、そのようなときには、新潟が救援首都になる。そのためには救援代替機能を今から強化していく必要がある。熊本はまだまだ大変な状況が続いているが、我々は、災害支援のノウハウを生かして、本震が発生した日に先遣隊を熊本市に派遣した。それ以降、罹災証明の発行や建物の危険度診断ができる専門性の高い職員を派遣し、福岡市に次いで新潟市が最も強力に支援している。また、サトウのご飯、切り餅の工場が佐賀にあるので、サトウ食品さんに協力をお願いし、早い段階で11トンお届けさせていただいた。
雇用については、ニューフードバレー、農業関係で雇用を増やそうということである。戦略特区は良い形でプロジェクトを推進している。それに加え、機能性食品の認定制度の創設に向けて検討を進めており、今秋にも受付を開始する予定である。また、食品表示法の施行によって、農産物でも機能性の表示ができるようになった。新潟薬科大学と共同で越後姫のビタミンCの分析を行って、栄養機能をパッケージに表示することができた。イチゴでは初めてである。ほ場整備の重要度はこれからますます増すため、調査費を支援していく。がんばる農家支援制度にはメニューを追加してさらに頑張る。輸出については米を柱として輸出を促進し、販路を拡大する。新潟港の活性化にも結びつけたい。
21世紀を支える新しい産業の柱になり得る航空機産業について、西蒲区ではエンジン関係の相当レベルの高い機械が入った工場がすでに稼働しており、今年は南区で機体関係の共同部品工場が稼働した。さらにこれからしっかりと三大重工業などから受注し、新しい産業の柱にしていきたい。産業の育成、支援も頑張る。
交流人口を増やすことが定住人口をなかなか増やせない中で重要度を増している。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、特にインバウンドを含めて交流人口を増やそうという取組みである。ピョンチャンオリンピックや東京オリンピックも含めナショナルチームの合宿誘致に取り組んでいる。今年7月には日米大学野球の選手権大会の5試合のうち2試合を新潟市で開催することになった。東京オリンピック・パラリンピックに向けて、この秋から文化プログラムが始まるが、文化プログラムを推進する核となる組織がアーツカウンシルという組織であり、芸術評議会という形で、ロンドンオリンピックのときの文化プログラムを非常に良い形で推進した。日本もアーツカウンシルを各地に作ろうということで、新潟市も手を挙げていたところ、基礎自治体では横浜市と新潟市がアーツカウンシルを早く作りなさいとご指定いただいた。また、光の響演、あるいは1万2,000人が走るシティマラソン、これらのスポーツイベントも推進、拡充をしていく。
次に、食と農を活用して都市ブランド化を果たそうという取組みである。これはすでにぐるなびから生産者、料理人、消費者をつなごうという取組みを開始していただき、それに触発され、意欲のある生産者と意欲のある料理人、シェフをつなぐ、ピースキッチン運動という取組みを開始している。その取組みが非常におもしろいということで、バス会社のウィラーグループが日本で初めて2階建てバスを改造し、1階が調理場、2階は25席のレストランになっているレストランバスを新潟を拠点にして走らせている。土曜日などはランチコース、ディナーコースの二つのコースがあり、非常に人気のある、発信力の高い取組みである。これもインバウンドの取組みにもつながると思っている。特にインバウンドには広域観光が重要になってくる。交流人口の拡大をさらに推進していく。
G7農業大臣会合はおかげさまで、安全の土台の上に大成功した。食と農を世界に発信する機会になったと思っている。昨年の東アジア文化都市は、新潟が日本代表都市になり、今後も東アジアの平和、交流を新潟から推進していく。これからは暮らしやすさが一番のポイントなので、日本一安心安全で暮らしやすい新潟を作っていきたいと思っている。そのためには、一人ひとりの市民の皆さまに、新潟市のPRのサポーターになっていただき、選択される新潟を目指していきたい。
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