(3-1-2)下水道工事の家屋被害について原因をきちんと調査してもらいたい

最終更新日:2021年7月26日

(3-1-2)下水道工事の家屋被害について原因をきちんと調査してもらいたい

令和3年3月29日 苦情申立受理

申立ての趣旨

 下水道工事に伴う道路の舗装復旧工事で、大きな騒音と強い振動があって建物に被害があったが、通常の音や振動とは考えられないので、市はきちんと調査して補償してもらいたい。

申立ての理由

 新潟市発注の前面道路作業工事中の激震により、当アパートが多大なる被害を受けたことで、下水道事務所より舗装作業についての報告書らしきものを提出して貰ったが、建物全体の被害を点検することなく、激震発生の事実を解明することもなく、その後も被害を与えたことに対する謝罪もなく、むしろないことにしようとしている節が見られる。
 国は国民の生命と財産を守る義務があるはずである。
 一瞬で、アパート全体の機能が失われ、資産価値がなくなったのである。防音、断熱もない寒い家に、強風や地震におびえながら住み続けねばならないのか。
 施工業者は事故報告をしないのか、したのか。
 何故、下水道事務所は、私が疑っている陥没、振動の地質調査をしないのか。12月21日の事故をきちんと調査しないで仕事を続行したのか。報告がなかったのか、あったが隠蔽したのか。
 まだ居住できるのか、どうしたら改修し、健全な建物にできるのかを必死に考えている私からすれば、下水道事務所の職員の方は、危機感も、誠意もなく、これが一般市民に対する態度で、市の姿勢なのか。確かに被害は、直後に解ったことと、4か月も経って解ったことがある。でも早く調査点検をして原状回復してもらいたい。
 以上が市に対する苦情、要望であり、具体的には次のとおりである。
 新潟市発注の前面道路作業工事中の激震により、当アパートが多大なる被害を受けたが、ここにまだ居住することができるのか、何処を修復すれば大丈夫といえるのかを確認してほしい。そのための1) 2)の調査点検依頼である。
1) 事実解明
 市道5mの当家前面道路の地質調査と地中の配管状態の確認をしてほしい。
 今回、B地域下水道事務所発注の下水道本管及び支管の縦管と横管と接続部に、この激震によるヒビ割れ、折れ、外れ、空洞陥没による沈下等が地中でなかったかどうか、異常が起こっていないかどうか。
 この下水道管は、今年10月頃から使用開始されるので、その前に調査しないと、不具合があれば地中で汚水が流れ続けるので、確認がどうしても必要である。当アパートの前の道路は数年前から道路全面に斜めの亀裂が入ったり、浅い陥没があったりして直してもらっている。当アパートはその現場の隣地なので、地中陥没があっても不思議ではなく、市が地域の土地柄を把握し事前調査をしていたら防げたことである。
 地質変化があれば、何かトラブルが発生したと考えられる。道路に新設した汚水マンホール本体に、操作ミスでグレーダー重機が当たったのではないか。縦管を通じて強い振動が地中に起こり、地下1.2m下にある本管横管にも伝わり、より下にある地下2~3mにある自然にできていた空洞に、強い振動が伝わることにより地中陥没が起こり、より加速、増幅、強力となったのではないか。又は新設したマンホール本体に過失でグレーダー重機が直接乗って圧縮したのではないか。本来砂利、砕石の整地時には、その後5センチメートル厚さのアスファルト舗装をする訳だから、整地の時は5センチメートル首が見えていてもよいはずである。事後の写真には首が出ていない。これが直接、縦管、横管ほか全部を圧縮し、上記と同じようになったのではないか。
 新設汚水マンホールと地下1.2m下の本管横管と当アパートの新設汚水桝は接続しており、その振動と圧縮空気が当アパートを直撃したと思われる。施工業者の方々は会社で連絡、相談はないのか、これは些細なことで必要なかったのか。私は、これは生活全体及び生命に関わることだと思うが、それでも下水道事務所は認めないのである。

12月21日の件追加
 “ガキューン”という天に上るような音はエアー(空気)の抜けた音である。小千谷市の17号線を走ると河岸段丘にある帝国石油近辺で時々聞こえる。
 窓を開けて見ると、重機が止まって「どうした、どうした」の声と人だかりがあった。何か事故でも起きたのではないかと思った。ここから・・強振動直後、写真撮影しようと窓を開けてみると、グレーダー重機を止めた中から、運転者が“フラフラ”と出てきた。そばにいたヘルメット着用の人たちに支えられて作業車から降り、両脇を支えられて運ばれて行った。
 暫く耳をすましていたが、救急車の音はしなかったので、大事ではなかったと思った。その後撮影したつもりの写真を確認したら写っていなかったので、もう一度外に出て撮影した。ツルハシが写真に写っていたのでその作業者もいたはずである。

2) 建物全体の調査点検
 震源地の上で起きた事故のように、建物構造体全体に強い振動が一瞬にかかったのではないか。ただ単に建築会社から点検をしてもらい直せないかと思ったが、床が沈下した、階段が歪んで踏板に亀裂が入った、防音が切れた、断熱が切れた等は、一般の建築会社では手に負えない。また1社だけの知識ではなく、公平と安全を図るために専門会社に調査点検してもらい、未だ住み続けることができるのかを確認したい。そしてどこをどう直せばいいのかを是非教えてもらいたい。

所管部署

 下水道部B地域下水道事務所(以下「所管課」という。)

調査の結果

 令和3年7月19日 決定

 所管課の対応に非があるとは認められない。

調査結果の理由

 当審査会では、申立人及び所管課からそれぞれ資料を提出してもらい、聞き取りを行った。
申立人の苦情の内容は申立ての趣旨に記載されているとおりであり、「申立人が主張する被害の具体的内容」「申立人が考える被害の原因」を整理すると次のとおりになる。
1 申立人が主張する被害の具体的内容
(1) 配管キャップが外れた。
(2) 混合水栓が飛び上がった。
(3) 階段が歪んで隙間風が入るようになった。
(4) 階段の踏板にひびが入った。
(5) 202号室の床が下がって、幅木と床の間に隙間ができた。
2 申立人が考える被害の原因
(1) 重機がマンホールに引っ掛かった。
(2) 必要以上に大きな重機を使用した。
(3) 矢板を打ち込んだ。
(4) 陥没の恐れのある道路である。
(5) 水道管を伝う振動の共振によるもの。
(6) 地質に異常がある。

 当審査会では、申立人の苦情の内容として、「申立人が主張する被害の具体的内容」「申立人が考える被害の原因」について個々に検討した。
1 申立人が主張する被害の具体的内容
(1)「配管キャップが外れた」について
 所管課の調査によれば、配管キャップは蛇腹管に取り付けられるものであり、手で容易に抜き差しすることが可能となっており、また、蛇腹管は、構造上可動する。以上のことから、配管キャップは、日常的に使用する中で外れる可能性があり、申立人が指摘する舗装復旧工事(以下「本件工事」という)が原因で外れたか否かを特定することができない。また、配管キャップの構造等から、これが外れたとしても直ちに損害が発生するものではないと考えられ、実際、申立人からも具体的に何らかの損害が発生した旨の主張はされていない。
(2)「混合水栓が飛び上がった」について
 申立人は、水栓が「飛び上がった」と説明するが、具体的にどのような状態となったものであるかは特定できないが、いずれにしても、現在、申立人からは、「水栓の形状、取付状況等に異常がある」「何らかの不具合が発生している」というような主張はなされていない。
(3)「階段が歪んで隙間風がものすごく入るようになった」について
 所管課の調査によれば、階段の踏板と幅木について、本件工事前と工事後において、水平方向の隙間に変化は認められない。垂直方向についても工事前から隙間の存在が認められていたが、事前の計測をしていないため変化の有無は確認することができないが、水平方向の隙間と比べても特に大きいとは言えず、所管課が調査した日時においては、隙間風は確認されていない。
(4)「階段の集成材の踏板にひびが入った」について
 所管課の調査によれば、踏板に用いられている集成材の接着部がはがれ隙間が生じていることが認められる。所管課では、本件工事前に該当部分を確認しておらず、「本件工事が原因で生じたものであるか否か」を特定することができない。
 なお、踏板の本体部分が割れた訳ではなく、踏板の表面に張り付けられている集成材の接合部がはがれて開いた状態になったものであると考えられる。
(5)「202号室の床が下がって幅木と床の間に隙間ができた」について
 所管課の調査によれば、本件工事前から隙間の存在が認められていたが、事前の計測をしていないため変化の有無は確認することができないが、写真によれば、隙間の大きさは特に大きいとは言えず、また、家屋周囲の地盤の高さ、建物の傾斜、1階の床・壁面の傾斜に変化は認められない。

2 申立人が考える被害の原因
(1)「重機がマンホールに引っ掛かった」について
 本件工事で使用した重機がマンホールの蓋に引っ掛かった場合には、蓋または受枠が損傷・変形し、使用不可能になる可能性が高いと考えられる。しかしながら、申立人が「事故が発生した」と主張する日(令和2年12月21日)には通常どおりマンホールの蓋を設置して舗装を完了しており、加えて、重機にも損傷が見受けられないことから、重機がマンホールに引っ掛かった可能性は低い。なお、マンホールの蓋表面から約5cmの部分はマンホール本体とは別の受枠部分であり、仮に重機が引っ掛かるとすれば受枠部分であると考えられるが、重機が受枠部分に引っ掛かったとしても、周辺に大きな影響が出ることは考えにくい。
 また、申立人は、「重機がマンホールに引っ掛かった」と考える根拠として
 ・大きな音と振動がしたこと。
 ・重機(グレーダー)の停め方が不自然であった(片側の側溝に寄せていた)こと。
 ・重機の運転手がよろよろと人に掴まりながら降りたこと。
 を主張するが、この点について、所管課の調査によれば、
 ・申立人以外に、「通常の工事で発生する音以外の大きな音や振動を感じた」という近隣住民からの報告はないこと。
 ・歩行者の通路幅を確保する意味で、重機を道路の端に寄せて停めることは通常であり、不自然ではないこと。
 ・施工業者に確認したが、「そのような事実はない」との回答であった。なお、重機の乗降口は高所にあり、乗降しづらいものであることから、降りる際の動作が、“よろよろ”と降りたように見えた可能性は考えられること。
が認められる。
(2)「必要以上に大きな重機を使用した」について
 所管課の調査によれば、標準的な機械(重機)が使用されており、必要以上に大きな重機を使用した事実は認められない。
(3)「矢板を打ち込んだ」について
 所管課の調査によれば、下水道工事では、通常、矢板の打込み作業は行っておらず、本件工事でも行われていない。
(4)「陥没の恐れのある道路である」について
 申立人は、「陥没の恐れがある道路である」との根拠として、「陥没が起き続けていること」を主張するが、所管課の調査によれば、少なくとも記録が残されている平成29年以降には「道路陥没が発生した」との記録はない。
(5)「水道管を伝う振動の共振によるもの」について
 申立人が何を根拠として「振動もしくは共振による」と主張をするのか、明確ではないが、所管課の調査によれば、令和2年2月16日に実施された申立人宅の現地確認に際しては、水道メーター及び水栓、並びに宅内の混合水栓に異常は認められておらず、また、令和3年1月27日に、汚水管内に光を照射して「管が直線に通っているか」検査を行っているが、汚水管に異常は認められていない。
(6)「地質に異常がある」について
 申立人が何を根拠として「地質に異常がある」と主張をするのか、明確ではないが、所管課の調査によれば、以前、実施された周辺のボーリング調査結果では「砂質土の地盤であり、地下水位も低く、良質な地盤である」との結果が報告されている。

 以上より、所管課は、申立人が主張する被害に関して、既に必要な調査を実施しているものと思料される。
 よって、調査結果のとおり判断する。
なお、所管課では、補償の対象とすることが相当と認められる箇所について相応の補償を行うべく、今後、申立人と協議を行う予定とのことである。

このページの作成担当

市民生活部 広聴相談課

〒951-8550 新潟市中央区学校町通1番町602番地1(市役所本館1階)
電話:025-226-2094 FAX:025-223-8775

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