市報にいがた 令和7年3月16日 2835号 1面・2面

最終更新日:2025年3月16日

あなたの周りに悩んでいる人はいませんか? みんなで支える大切な命

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あなたの周りに悩んでいる人はいませんか? みんなで支える大切な命

 卒業や就職・転勤などで生活環境が変わる春は、ストレスがかかりやすい時季です。自殺を防ぐために私たちができることを一緒に考えましょう。

問い合わせ こころの健康センター(電話:025-232-5551)

専門家に聞きました

新潟大学 教育学部 准教授 医学博士・臨床心理士・公認心理師 田中 恒彦さん 新潟大学 教育学部 准教授
医学博士・臨床心理士・公認心理師
田中 恒彦さん

コロナ禍(か)を機に自殺者数は増加傾向に

 新潟市の自殺者数は、平成21年から令和2年まで減少していましたが、令和3年から増加に転じています。自殺はさまざまな要因が複雑に影響し合って起こる現象ですが、特に増加の要因としては、新型コロナウイルス感染症の流行による経済状況の悪化や、人との関わりが減ったことが考えられます。また、人との関わりの希薄化に拍車をかけたのは、SNSだと思います。コロナ禍で人と会う機会が減ったことに加え、SNSでのコミュニケーションが中心になり、対面でのやり取りが少なくなったことで、孤立する人が増えてしまいました。
 自殺が家族や周りの人、社会に与えるインパクトは計り知れません。自殺で亡くなる方を減らせるように、一人一人が自分にできることを真剣に考えていく必要があります。

新潟市の自殺者数の推移

コミュニケーションが重要

 自殺予防には、コミュニケーションが重要です。家族だけでなく、近隣住民や趣味仲間との関わりなど、コミュニティーのつながりも大切にしましょう。
 例えば近頃は、家の周りでこどもがわいわい遊んでいることを許せない人や、干渉されることを嫌って近所付き合いを避ける人が増えています。人付き合いは時に面倒で、自分や家族のプライバシー保護も大切ですが、簡単なやりとりも含めた普段の関わりまで避ける人が増えてしまうと、孤立した社会環境になりやすく、自殺のリスクを高めることにつながってしまいます。
 多様な人がいること、それぞれの事情や価値観があることを受け入れ、違いを理解し合えれば、自殺リスクの低い社会の実現につながると思います。

私たちができること

 自殺は、個人の感じ方・考え方の問題によって起こると思われがちですが、必ずしもそういうわけではありません。社会から孤立していく中で「死んでしまいたい」という気持ちが生まれてくるように、自殺の動機はその人とその人を取り巻く環境の間に生まれてくるものなのです。周りの人を自殺に追い込まない環境をつくるためには、私たち一人一人が「寛容な心」を持つことが重要です。
 寛容な心を持つには、さまざまなことに「しょうがないか」と思うようにしましょう。例えば、周りにつらそうな顔をしている人がいたとして、「なんでそんな顔してるんだ」と問い詰めるのではなく、「つらい顔になる理由があるのだろうな」と理解し、優しい言葉を掛けてみてください。声を掛けても思ったような反応が返ってこないかもしれませんが、「今は言いたくなかったのかもしれないな。しょうがないか」と受け入れ、心配する気持ちを無理に押し付けないことも大切です。
 自殺予防と聞くと「何ができるだろう」と難しく考えてしまうかもしれませんが、周りの人とコミュニケーションを取ることは、今日からでもできることだと思います。自分にできる小さなことから始めてみませんか。

考えてみよう 悩んでいる人にできること

あなたの周りにいつもと違う様子の人はいませんか。
ちょっとした変化への「気付き」「声掛け」「対応の仕方」などで、悩みや不安を和らげることができます。

1 気づく

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 家族や仲間の変化に気付いて、声を掛けましょう。違っていてもいいので、体調などについて尋ねてみてください。

Point !

◎ 心配していることを伝える
「どうしたの?なんだか元気ないけど、大丈夫?」「よかったら、話してみない?」

× 聞かない態度をとったり、安易な励ましをしたりしない
「元気出して。気の持ちようでどんなことでも変わるんだから」

2 聴く

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 本人の気持ちを尊重し、受け止めることが大切です。ゆっくり話を聴くだけでも相手の心が軽くなることがあります。

Point !

◎ 相手の話をじっくり聴き、その気持ちを肯定する
「それは大変だったね。一緒に考えよう」
「話してくれてありがとう」

× 他人との比較をしたり、相手の考えを否定したりしない
「みんなも耐えているんだ。踏ん張りどころだよ」

3 つなぐ

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 早めに専門家に相談するよう促してみましょう。相談や受診をすることは決して恥ずかしいことではないと伝えましょう。

Point !

◎ 相手の気持ちを踏まえて、相談窓口を紹介する
「専門の相談窓口があるよ。一つずつ解決していこう」
「相談してみない?一緒に相談に行くよ」

× 一方的な指示をしない
「まずは生活を規則的にしなきゃ。全てはそれからだよ」

4 見守る

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 温かく寄り添いながら、じっくりと見守りましょう。悩みを抱えている人にとって、自分のことを気にかけてくれる人の存在は、大きな支えとなります。

Point !

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◎ 必要があれば相談に乗り、これまでと変わらず見守る
「最近は調子どう?」「いつでも話を聴くよ」

× 悩みの解決を焦らない
「早く良くならないとね」

相談窓口

 窓口の情報をメモにして渡す、本人と一緒に電話をかける、窓口まで同行するなど、丁寧に窓口へつなぎましょう。

くらしとこころの総合相談会

電話:025-232-5570

弁護士、保健師、心の健康に関する相談員などが、心の健康や借金についての相談などに応じます。 ※開催日や申し込み方法など詳しくは新潟市ホームページに掲載

24時間365日いつでも相談できます

こころの健康センター(中央区川岸町1)

うつ病や統合失調症などの精神疾患、ひきこもり、アルコール・薬物依存、摂食障害、思春期・青年期の悩みなど、心の健康についての相談に専門スタッフが対応します。

電話相談 電話:025-232-5560
 精神保健福祉相談員などが電話で相談に応じます。本人だけでなく家族や関係者も相談できます。事前予約で来所相談もできます。
日時 月曜から金曜午前8時半から午後5時 ※祝日・休日、年末年始除く

メール相談
 新潟市ホームページの専用フォームから送信してください。
※回答まで2週間程度かかる場合あり

こころといのちのホットライン

電話:025-248-1010
夜間や休日に対応しています。
日時 月曜から金曜午後5時から午後10時、土曜・日曜、祝日・休日、年末年始午前10時から午後4時
※時間外は新潟県こころの相談ダイヤル(電話:0570-783-025)で相談を受け付け

24時間365日いつでも相談できます

ストレスをため込まないために セルフケアで心を健康に

 ストレスをため過ぎると、心や体の調子を崩してしまうことがあります。日常生活でストレスをためないこつを紹介します。

生活習慣を整えよう

 ストレスと上手に付き合うには、生活習慣を整えることが大切です。

心の健康のための基礎を固めよう

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  • 栄養バランスの良い食事
  • 良質な睡眠
  • 適度な運動
リラックスできる時間をつくろう

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  • ゆっくりと腹式呼吸をする
  • ぼんやりと窓の外を眺める
  • ゆったりお風呂に入る
  • 軽くストレッチする
  • 好きな音楽を聴く など

頭を柔らかくしよう

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 やらないといけないことがうまくいかないと、強いストレスを感じてしまいます。そんなときは、問題点や良くないことばかりではなく、できていること、うまくいっていることを考えてみましょう。考え方や視点を少し変えてみるだけで、気持ちが少し楽になることがあります。

困ったときは相談しよう

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 まずは周りの人に相談してみましょう。心と体の不調が続くときには、早めにこころの健康センター(電話:025-232-5560)やこころといのちのホットライン(電話:025-248-1010)などに相談してください。

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