きのこ食中毒について
最終更新日:2020年10月5日
きのこによる食中毒の予防のポイント
1 食用と正確に判断できないきのこは絶対に「採らない」、「食べない」、「人にあげない」「売らない」
2 様々な「言い伝え」は全く根拠のない迷信であるため、信じない。
主な迷信
(1) 柄が縦に裂ければ食べられる。 → 毒を持つきのこの多くは柄が縦に裂ける。
(2) ナスと一緒に料理すれば食べられる。 → 食中毒を起こした例は多数ある。
(3) 虫が食べているきのこは食べられる。 → 虫は毒のあるきのこも食べる。
きのこの種類
毒きのこ・不食きのこ・要注意きのこ・可食きのこに大別し、一部のきのこを掲載しています。
注意事項
掲載している写真は必ずしも典型的な形状ではありません。
きのこは発生時期や発生場所などで形態が異なることが多いため、写真だけを頼りに安易に鑑別せず、食用と判断できないきのこは絶対に食べないようにしてください。
下記のホームページにもきのこ情報が掲載されています。ご参考ください。
毒きのこ
食べると中毒症状を起こします。絶対に食べないでください。
イボテングダケ
症状
嘔吐、精神撹乱、幻覚、筋肉の痙攣など
特徴
テングタケに比べ、傘のイボが大きい。
オオワライタケ
症状
食後5~10分で、震え・寒気・めまいなどの症状が出る。
多量に食べると、幻覚・幻聴をともなう精神の異常興奮、狂騒状態になる。
特徴
(1)生で、傘はまんじゅう形から開くと平らになり、表面は橙黄色。
(2)柄の上部に膜質のつばがあり、下部(根元)は太い。
(3)食べると強い苦みがある。
カキシメジ
褐色の傘表面
中空の柄
症状
嘔吐・下痢・腹痛などを起こす。
特徴
(1)単生~群生で、傘は湿っているとき粘性があり、帯赤褐色~栗褐色。
(2)柄の根元はやや膨らむ。
(3)柄の内部に髄があるかまたは中空。
クサウラベニタケ
症状
激しい吐き気、嘔吐、腹痛
特徴
(1)ヒダが初め白色のち肉色となる。
(2)柄はほぼ白色で中空。
(3)ウラベニホテイシメジ(可食)と一緒に生えていることがあり、間違えやすい。
コカブイヌシメジ
症状
ムスカリン症状(発汗、下痢、嘔吐、不整脈、血圧低下など)
特徴
(1)群生または少数束生で、小型。傘は淡黄灰色~白色で、初め半球形、のちに漏斗形になる。
(2)柄は傘と同色で、中空。
(3)桜餅のような香気がすることもある。
サマツモドキ
症状
人により、下痢などの消化器系中毒。
特徴
(1)傘表面は黄色の地に暗赤褐色~暗赤色の微細な鱗片を密布する。
(2)ひだは黄色。柄は黄色地に赤褐色の細鱗片を帯びる。
ツキヨタケ
見た目はとってもおいしそうですが、毒キノコ。胞子を作るヒダの部分が闇夜で光る。
縦に裂くと見える柄の内部に黒っぽいシミがある。幼菌にはないこともある。
柄の付け根にリング状の隆起帯がある。
症状
嘔吐、腹痛、下痢
特徴
(1)ひだと菌糸は暗中で黄白色に光ることがある。
(2)柄の肉の内部に暗紫色~黒褐色のしみがある(ないものもある)。
(3)ひだと付け根との境にリング状の隆起帯がある。
(4)外観はシイタケ・ヒラタケ・ムキタケに似ており、日本の毒きのこで最も中毒が多い。
テングタケ
左:傘が開く前 右:開いた後
症状
嘔吐、精神撹乱、幻覚、筋肉のけいれんなど。
特徴
(1)傘灰褐色~オリーブ褐色で、白色のいぼが多数散在する。
(2)柄の上部につばを有し、根元はふくらむ。
ハイイロシメジ
ハイイロシメジの老菌
症状
下痢・嘔吐など消化器系中毒。
特徴
(1)ずんぐり形のきのこで、傘は灰褐色。柄の下方が膨らみ、淡灰色で縦線をあらわす。
(2)よくゆでこぼしてから食べること。
(3)食用とされる一方、ハイイロシメジが原因とみられる食中毒事例がある。
ヤケアトツムタケ
症状
下痢
特徴
(1)傘表面は粘性があり、黄褐色~茶褐色。
(2)焼け跡、たき火跡に発生する。
不食きのこ
食べられません。食べてもおいしくありませんし、人によっては中毒症状を起こします。
アカカバイロタケ
食べられません。
ツノシメジ
食べられません。
キチチタケ
食べられません。
ツチカブリ
食べられません。
名のないきのこ
あちこちで見かけるが、まだ名がついていない。
食べない方が良い。
要注意きのこ
可食とする本もありますが、一方で中毒例もあります。あるいは調理の仕方によっては食べられるものもあります。
シモコシ
症状
近年、欧州で筋肉障害性中毒の報告がある。
特徴
(1)従前から食用とされていたが、人によって中毒することもあるため要注意。
(2)傘は半球~まんじゅう形でのち平らになる。
(3)傘表面は湿時には粘性があり、中央部に帯褐色の細鱗片がある。
スギタケ
症状
人によっては腹痛、下痢を伴う中毒を起こすことがある。
特徴
(1)束生で、傘表面はささくれ状鱗片でおおわれる。
(2)ヒダは帯緑褐色のち褐色。柄の下方は、傘表面と同様の鱗片で覆われる。
チチアワタケ
症状
下痢することがある。
特徴
(1)傘表面はくり色~黄土褐色で強い粘性がある。柄につばはない。
(2)若いときには、傘裏の管孔から黄白色の乳液を分泌する。
(3)以前は食用とされていたが、下痢することもあるため注意が必要。
ツルタケ
症状
生食で中毒する。
特徴
(1)成長すれば平らに開き、表面は灰色~灰褐色、長い放射状の溝線がある。
(2)生食で中毒するのでよく加熱して食べる。
ナラタケ(広義)
症状
生食や食べ過ぎで中毒することがある。
特徴
(1)中央に黒い鱗片があり、周辺には放射状の条線がある。
(2)柄にやや膜質のつばがある。
ムラサキシメジ
症状
生食で中毒することがある。腹痛・下痢など。
特徴
(1)全体が美しい紫色で柄の基部が膨らむ。
(2)生食で中毒することがあるので、必ずよく加熱してから食べること。
(3)よく似たウスムラサキシメジで食中毒事例がある(鑑別注意)。
可食きのこ
食べられるきのこです。
ウスヒラタケ
スギヒラタケとの鑑別に注意
エノキダケ
クリタケ
サンゴハリタケ
ヌメリイグチ
管孔部分は消化が悪いので、取り外してから利用した方が良いと言われている。
ハタケシメジ
ヒラタケ
ツキヨタケとの鑑別に注意
ブナシメジ
マツタケ
ムキタケ
ツキヨタケとの鑑別に注意
ムキタケには柄内部のシミがない(右写真)
(注意)ただしツキヨタケでもシミがない場合があり